【開催レポ】[特別企画]支援者のためのケア講座~ケアする自分をケアしよう~

今回は、特別企画「支援者のためのケア講座」。 当日は多職種の方が集まり、講座を聞いたりグループワークをして交流を深めました。

特別企画 支援者のためのケア講座~ケアする自分をケアしよう~

講師は、鎌倉女子大学准教授の榊原先生、ピアサポータ―は、国立男女平等参画ステーション(パラソル)の木山直子さん。 最初に、参加者の自己紹介と今日の参加への思い・狙いについて話をしていただきました。
参加者は、保育士、子育て支援員、介護職など様々。中には、榊原先生のお話が聞けるとの事で遠方から参加された方もいらっしゃいました。
自己紹介が終わった所で、榊原先生は「今回は多職種の方が集まっているので、自分と比較して『違う』のではなく、『なるほど、そういう考えもあるんだ』という”
違った視点”をもらって帰りましょう!これをあえて意識する事は、”技術”ですよ!」と伝えていました。

まず初めに、榊原先生は、対人援助職の方は、他人の価値観を理解するよりも、自分の価値観を知る”自己理解”が重要と話をされました。それは、価値観と価値観が向き合う事が支援だったり相談だったりするからで、自分の内面を知るワークに取り組みました。
続いて、参加者同士が2つのグループに分かれて共通項を探すワーク(共通項ワーク)に取り組みました。共通項を探すために自己開示すると、相手も自己開示し易くなる”自己開示の返報性”という原理が働くそうです。榊原先生は、「支援者と相談者である当事者同士ではNGですが、同じ支援者同士や相談者同士などでの仲間づくりに有効」と話をされていました。このワークでは、共通項を探すので、「私も同じ!」「私も住んでいました!」など、参加者が声をあげたり、笑い声があったりとして、場も和やかになってきました。  

更に、専門職として自分のアタッチメント(愛着)スタイルを知っておくことが大事(メタ認知)で、客観的な自己理解と他者理解につながるそうです。

そして、最も大事なのは、心の境界線(バウンダリー)です。対人援助職は、特に他人の感情に巻き込まれやすいため、心の境界線を引くスキルについて学びました。

  講座をたっぷり聞いた後は、最後のグループワークです。「ジェンダー(性役割)」「地域」「支える」「自立」の4つのキーワードからイメージする事を付箋に書き、近いイメージのものを用紙に貼り付けて、カテゴリー毎にテーマをつける事を行いました。このワークでは、「地域」といっても、都市と地方の格差についてイメージを持たれる方もいて、一つのキーワードから色々な意見を学ぶ勉強になったようでした。最後に、榊原先生からは「対人援助職の方も「助けて」と言える場所や、誰かに委ねる事が大事です。また、整理する時間として、情報を言語化して冷静になること(セルフカウンセリング)をしてくださいね!」とエールを送られて交流会が終わりました。

参加者からは、「自分の考えだけでなく相手の考えも受け入れるなど、色々とお話を聞けて納得する事が多かった」「支援者という括りでも多職種の方と語り合えたので、自分の視野が広がった」と満足されたようでした。そして、交流会への参加を通して、「色々な考え方でいい」「自分の考えに縛られ過ぎずに物事を捉える事が重要」「相手への聞く耳を持てた」「自分自身の意識が変わった」など、気持ちにも変化があったようでした。

交流会を終えて

最初に榊原先生が、参加者が多職種である事から「相手の考えを、そういう考えもあるんだという”違った視点”をもらって帰りましょう!」と伝えていた事が印象的でした。

日々、様々な相談に寄り添い活動されている支援者の皆さん。対人援助職は、相手の理解を優先しがちですが、まずは”自己理解”を深める事が大事なのがわかりました。また心の境界線を引くことは、常に他人の感情に巻き込まれやすい仕事だからこそとても大事なスキルですし、そうでない職種の方でも、身に着けたいスキルだと感じました。相手に同調しやすい日本人ならではの必要なスキルかもしれません。

参加者からは、「心のケアを重点的にやって欲しい」「ストレスケアをやって欲しい」「こういう企画にもっと参加したい」といった声が寄せられ、対人援助職(支援者側)のケアの必要性を実感しました。