食物アレルギーで泣き泣きの毎日を、ニコニコに
「食物アレルギーサークル にこにこ」は、アレルギーを持つ子供の親や親子が集まり情報交換をしたり、様々な企画を行い、気軽におしゃべりして前向きな子育てにつながる会を開いています。複数のアレルギーを持つお子さんの子育て中で、サークル初期から運営に関わっている三田栄美さんにお話をうかがいました。
初めての子育て・複数アレルギー「泣き泣きの毎日だった」
第一子の子育て、しかも乳児期に乳・大豆・小麦・卵など、複数のアレルギーが判明した三田さん。「毎日泣き泣きだった」と振り返ります。母乳や様々な情報を調べるも不安でいっぱいな時期に、地方紙に載っていた「食物アレルギーサークル にこにこ メンバー募集」の記事を見つけすぐ連絡。大坂さんも、同学年のアレルギーっ子の子育てで、誰かと繋がりたいと活動を始めたばかり。互いの悩みや不安、葛藤も共有し互いに救われたと言います。
2015年にサークル「にこにこ」を設立した当初は、企画や発信が得意な大坂さんと三田さんの二人で運営。三田さんはもともと小麦のパンや農家の夫の野菜を使った飲食店を開いていることから、サークルのイベントで提供するお菓子などを作っています。
近年は、ピアサポーターの大須賀さんと、飯野さんも運営に参加しています。お子さんの食物アレルギーを機につながり、メンバーそれぞれの良さを生かしながら活動しています。
フラットなおしゃべり会
おしゃべり会は、2か月に1回ほど。情報交換を兼ねたおしゃべりや、クリスマス等にケーキやクッキーなどの食イベントも行っています。なかでも、クッキーにアイシングするワークショップや絞るだけのモンブランケーキ作りが人気。アレルゲン除去で美味しく楽しめるスイーツを作る企画は、にこにこ笑顔でいっぱいになります。
防災食の試食は「意外とおいしい!」と盛り上がったそうで、一人で不安に思うより誰かに話したり、共有することで不安は減るといいます。
「にこにこの会には、一つだけ約束があるんです。“それぞれを尊重する”こと」と三田さん。お互いの経験や状況、考えを否定せずに、「“私は”そう思うんです」という話し方を意識しているそう。考え方や辿り着く方法は人それぞれ。押し付けず尊重しあい、アレルギーっ子や親子の気持ちも楽に繋がれる場をと心がけています。
成長とともに変わること
サークル活動は7年目となり、子供の成長を感じる一方で「年齢が上がると、その分目の届かない場所での心配は増え、情報も少ない」と感じるそう。アレルゲン食材を解除する加減や誤食が、行動範囲が広がると見えにくくなります。本人への意識付け、更には保育園や学校の先生、周囲の友達への周知・理解、対応を伝えることは大変ですが、相手に「伝えたいのに言えない」という人も多いとか。
取材に伺った日は、「小学5年生で、宿泊の移動教室から帰ってくるんです」と嬉しそう。できるだけ同じようなものを食べたい、食べさせたいという思いから、念入りな確認やテストもしてみました。それぞれの性格や気持ちに寄り添い伝えることの大変さもありますが、「言えない人も、子どもの命を守るために、全て伝えてほしい」と、あたたかく見守っています。
これまでサークルに参加した人は、国立・立川のほかに遠方から来た人もいるそう。清瀬でも「アレルギーサークルの輪が広がり、新たに立ち上げる人がいたら嬉しいです」と期待しています。