誰が言ったか分からない「○○らしく」って?

これまでの活動の中で、木山さんが熱心に続けてきた活動の一つが「男の子ママの会」。母にとって異性である男の子を育てると「男の子らしく」「男の子だから」などの規範を無意識に持ってしまう人が多いそう。「異性だから、同性だから、という線引きも本当は必要ないのだけど」と前置きしつつ「自分と違う異性だからなのか、『○○らしく』とか、こうある『べき』というイメージを勝手に持ち、それに対してどうかと悩んでしまう」と指摘します。

「誰が言ったか分からない“○○らしく”という決めつけを無意識に持っている。それは誰が決めたんでしょうね。ひとくくりにせず“その子”を見て」と呼びかけます。また、木山さんは「みな基本的に真面目だし愛情も深い。だからこそ、自分の成長や“親らしく”も重ねて悩んでしまったりする」と子育ての難しさも口にします。

実は、木山さん自身も男の子ばかりの4人兄弟を育ててきました。「はじめの頃は“○○らしく”にとらわれてしまったこともあったけど、4人をひとくくりにはできなかった」と振り返ります。自分のことも子どものことも、個人の存在を尊重する。子どもたちにも、自分の言葉で相手に伝えるように育ててきたそうです。

 

知る・話す・気付く「きっかけをもっと身近に」

「じわじわと、空気がひろがっていくことを大切にしている」と、木山さん。ジェンダー問題に一般の人々も気軽に触れる機会として開いているのが、読書会や映画を見る会です。ジェンダーについて声高に教えるのではなく、参加者の想いを尊重し、考え話し合う過程をとても大切にしています。

 

参加者同士が言葉を交わし、お互いの考えや思いを知ることで、参加者も和やかに。気さくで安心感のある木山さんのキャラクターもあってか、深刻な面持ちで参加した人や勉強のために来た人も、ほとんどの人が笑って帰っていくとのこと。木山さんは、「自分や他人への小さな気付きのきっかけになったらいい。大きくやるのでなく、じわじわと。そのきっかけの機会を作り続けたい」と熱く話します。

パラソル座談会風景

ジェンダー教育を学ぶ機会を市民にも

そうは言っても、日々相談を受けているとしんどくなる時もあるとのこと。木山さんやスタッフにとって学びの場となっているのが「ジェンダー教育を学ぶ会」です。先生や学者など専門家から知識や情報を学ぶ会を、定期的に持っています。学ぶ会で知識を得たり、話し合いの場があることで自分たちの中身を更新し、相談に活化している大切な会なのだそう。

 

木山さんは、この学びを市民にもシェアできたらと考えていて、「自分の中の『らしく』や『べき』に気づくと気持ちが楽になる。他の人に対しても同じ、そういう人が増えたらもっと楽な社会になる」と期待を寄せています。清瀬では、20~30人での勉強会など、とにかく気軽に話せる機会を増やしたいと、考えています。

パラソルパネル展示「ネットでざわつくジェンダーのことをみんなで話したい!」

団体情報

ジェンダー教育について考える会

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